書き逃げ

映画、音楽、落語など

『ゴーストバスターズ』最高の瞬間の記憶

たった今、見て帰って来たところで書いている。

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見終わった直後、思い出したことがある。

最初の『ゴーストバスターズ』は中学生の時に公開されたので、ズバリ直撃世代である。その頃相次いで公開された映画のことを「3G」なんつってね。若い人はご存じなかろうが、同じく特撮映画の『ゴジラ』『グレムリン』と併せてそう呼ばれていたのである。

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(考えてみると、ゴジラゴーストバスターズが今年、同じ年に復活したわけだ。まあ、ゴジラはその前にも後にもたくさんあったわけだが)

 

全部映画館に見に行った。で、背伸びしたい年代ということもあり、『ゴーストバスターズ』が一番面白いと当時は思った(『ゴジラ』は特撮がさえないと思ったし、『グレムリン』は子ども向けすぎると感じた)。いや、今でもこの3本の中ではそうかもしれない。でも、正直言って当時もあんまり面白いと思わなかったし、今見たら結構辛い。

と言っても(と逆接でつなぎまくる悪文で申し訳ないが)、やはり楽しんだのは確かだ。現在CGアニメで出来ることの限界が広がっているのと同様、当時はSFXの黄金時代であり、どことなくきらびやかな合成具合のアグリー・リトル・スパッド、結構ちゃんとグロく作ってあるタクシー・ゴースト、そしてもちろんマシュマロマンなんかの特撮には興奮した。ただ、ビル・マーレイの面白さなんかは子どものときはわからず、そして今になるともっと面白いマーレイの映画は他にあるわけで、やはり「面白い!」とはならないのだ。

ただ、当時見ていて、ものすごくフレッシュに感じた場面が特撮以外に一つあったということを今日、思い出したのだった。それは、最後の決戦のために、ゴーストバスターズの面々が建物に入っていこうとするところ。パトカーに先導されたECTO-1で現場に向かい、集まった市民が歓喜の声でゴーストバスターズを迎える。その声を背に4人が建物の中に入っていく。もちろん服装はつなぎ、背中にはプロトンパック。

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ストーリー上、ここは気持ちが上がるシーンなのは間違いない。それまでは、幽霊退治で一部の人は助けつつも胡散臭いと思われていた4人が、ニューヨーク市民に受け容れられ、期待され、戦いに赴くシーンなのだから。

具体的に中学生の俺がどういう点をフレッシュに感じたか。

がんばって言語化してみると、まずは「本当っぽく見えた」という、単純でバカっぽい要素は否定できない。群衆の様子が本当っぽかった。エキストラの質が(練度が)高かったのかもしれないし、後は真っ昼間に、相当広いところで大勢いるのがリアルに感じられたのだと思う。

そして、これがキモだと思うのだが、映画の中の主役が臆面もなく「ヒーロー」として扱われる様子が新鮮だったのだろう。たいていの場合、主役を映画の中でヒーローとして扱いすぎると嘘くさくなるものだ。だからこそ映画の中ではスーパーマンですら「特別な力を持った存在」としては扱われるが、ヒーローとして遇される時間は少ない。バットマンなんか人目に付かないように主に暗闇でこそこそしていて、それゆえにヒーローだったりするわけだ。

しかし、抜群の安定感の抑え投手登場時のようなアメリカンな歓声であの4人は迎えられる。そうなっておかしくないストーリーになっているし、そこでのカタルシス(を狙った作り)が中学生の俺にとっては新鮮だったのだろう。あの群衆にとってのゴーストバスターズと、観客である自分にとってのゴーストバスターズがばっちり重なる瞬間に快感があったのだと思う。「行け! いてもうたれ! ゴーストバスターズ!」って。

書きたいことはこれだったので、もう話は終わりますが……残念ながら今作にそういう瞬間はなかったですね。