書き逃げ

映画、音楽、落語など

『ターミネーター』30年目の真実

もちろんタイトルはウソ、大げさ、紛らわしいタイプのものです。

 

立川の極音上映で見てきた。もしかすると、というかかなり高い確率で、スクリーンで見たのは初めてだ。日曜洋画劇場で見たり、それ以降はレンタルで見たり、午後ロー落ちした時に見たりしたのだろう。

映像、音響ともに良好で、非常に楽しめた。そして、何度も見ていたにもかかわらず、今回初めて気づいたことがあった。

もともと、『2』とは違って、ホラー演出を基調とした映画だとは思っていた。それは間違っていなかった。

一人で出かけようとして、だだっ広い駐車場に一人赴くサラ・コナー。引いたカメラが全身を捉え、周りに誰もいないことを強調するとともに不安な音楽が被さり、あたりをキョロキョロとうかがうサラの顔のアップになる。何事も起きず、スクーターで出かける彼女の後を、少し遅れて血走った目の男が車で静かに追い始める……。

そんな感じで、ジャンル映画らしい演出を丁寧に積み重ねていく。SFの皮を被ったホラーなのである。

今回見て、全く見落としていた、あるいは記憶から完全に抜け落ちていたのは、以下のくだりで映っていたもの、またやりとりの意味である。

シュワ演じるところのT-800が、どこかの部屋に入り込んで己の傷を修復するシーンがある。修復といっていいのか、怪我の部分を切り取って捨てるというべきか、指先が動きにくくなったのを、腕の肉を切り開いて中のケーブルを直し、眼球を取り去ってレンズを露出させる。

その部屋から銃を持って出ようとする前、廊下に来た掃除夫らしい男に、「何か腐ってるのか? とんでもない匂いだ」みたいなことを言われる。T-800は「Fuck you, asshole」という返事をロールプレイングゲームのコマンドよろしく選んで答える……というところは覚えていた。ロボコップでも似たようなことをしていた、固いギャグシーンである。

俺はその“答え”は覚えていたが、掃除夫がかけた言葉はすっかり忘れていた。そして、答える前のT-800の顔、もろにダミーヘッドなのだが、そこにハエがとまっているということは完全に見落としていた。

 

この映画におけるダミーヘッドの出来はあまりよくなく、高校時代に友だちと、目玉をくりぬいたシュワの(ダミーヘッドの)顔色があまりに青白くなっているので、

「そんなに痛いならやらんとけばええのにな!」

なんつってゲラゲラ笑ったりしていたのだ。しかしこの顔色、ちゃんと演出されていたものだった。

記憶が混同されていたのだけれど、目玉をくり抜くときは、さほど顔色は青白くなかった。しかししばらく後、ハエがたかる状態になって以降、T-800の顔色はどんどん青白くなっていくのである。これ、つまりT-800の皮膚が腐っていっていることを描写していたのだ。

そして、そこから自ずと気づかされるのはT-800がゾンビのバリエーションであったということだ。ダメージは与えられるが、殺そうとしてもなかなか死なない。体が損傷してグロくなり、嫌な見た目になる。感染しないけどね。あと、集団でもないけどね。

エンドスケルトンになっても足を引きずりつつ追いかけて来、下半身が千切れてからも上半身だけで這ってくる姿は、ゾンビのイヤさ怖さとほとんど一緒である。

全然気づかなかった……あるいはすっかり忘れてしまっていたのは、驚異の娯楽大作『2』が違うジャンルの映画に変貌していたからかも知れない。

「天才『パート2』監督」(2作目をメチャクチャ面白く撮ってしまう)で、しかもそれを別ジャンルにしてしまう癖があるジェームズ・キャメロンについては、またなにか気づいたことがあったら書くかも。