書き逃げ

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『トランスフォーマー/最後の騎士王』では満たされないロボット欲

IMAX3Dで見てきた。

tf-movie.jp

ネタバレも何もねえ……ストーリーはほぼないも同然だ。なんとなく派手なシーンがいくつもあって、それらを繋ぐ地味なシーンが、それでもできる限り派手なように撮られている、という感じの映画である。長く長く週刊連載をしていた『キン肉マン』レベルの辻褄の合わなさや説明の足りなさが2時間半の間にめくるめく早さで、眼筋がついて行けないほどのディテール過多の映像で繰り広げられる。もし、この映画が脚本通りに撮られているのだとしたら、脚本を書いた人は脳をどこかで落としてきたのではないか? と思いながら見ていた。

そのレベルのストーリーだから、文句を言っても仕方がない。編集もガチャガチャであり、そっちに文句を言うのはさらに野暮だし徒労だ。問う価値があるのは「静止画にしたときの映像のクオリティ」がどうだったか、のみだろう。その面では、とても綺麗でした。お金をかけただけのことはあり、最高に入念に作られていると思いましたよ。

あ、問いたいことはもう一つあった。というかそれが俺にとっての本題だ。出てくるロボットたち(このフランチャイズではオートボットと言うんですか)のデザインである。

あれですが、あんなに細かく分割されて変形するのだったら、もう元がなんであろうがどんな形にだって変形できるだろう、と前から思い不満を感じていた。オプティマス・プライムなんか、一作目には胸のあたりにあった窓ガラスがどこにもなくなってるからね。

例えば、極小の積木で作ったスーパーカーがロボットに変形したとしても別に何も興奮や感動などしないだろう。さらに極端に言うと、粘土で精巧にスーパーカーを作り、それをこね直してロボットにしたって「ああ、形が変わったな」としか思えないはずだ。そんなことが起きている(前から)。

そして、ロボット自体、ほぼ顔の造形が人間なのがまた感興を削ぐ。

(下は前作「ロストエイジ」の時のハウンドだから、今に始まったことではないのだが……)

 

俺は『トランスフォーマー』シリーズにロボットを期待して見に行ってるんだが、毎回期待を裏切られて帰って来ている。もう、だいぶ前からその期待は満たされないし、脚本も演出もグダグダでちっとも面白くないとわかっていて、それを確認しに見に行っているようなものだ。わかって行っているのだから、文句を言うのが間違っているのだろう。

しかし、しかしですよみなさん!(ダン! とテーブルを拳で叩いて) それでもロボットがあんな顔じゃあほとんど「銀色のうろこが付いた人間」やないかと思うんですよ私は! オプティマス・プライムもどんどん普通に口が付いた顔になってきてるしなあ(1作目の時は、まだ「顔の下の方のアゴに近いところにある、口かもしれないけれどそうじゃないかも知れない薄い切れ目」がかすかに動く、みたいな感じだった)。

もう少しロボットというものの、そして出来ることならば変形ロボットの妙味みたいなことをもう一度考え直して次の作品は作っていただきたいと思った。バンブルビーは頑張ってるよなあ。

そして、こっちはもうそんなに強くは期待しないけれど、脳が付いてる人に脚本を書いて欲しい。