書き逃げ

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『ベイビー・ドライバー』観て損はない。んだけど……。

ちょっと期待しすぎたかもしれない。

www.babydriver.jp

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面白かった。かなり楽しめた。観に行ってまず損はしないと思う。

……んだけれど、当初の期待が大きすぎ、また途中から「お、これはすごいかも」と思いすぎてしまったせいで、後半のガッカリが大きく感じられすぎた。「すぎ」使いすぎ。

 

いいのは、なんと言っても冒頭のカーチェイス(カーアクションと言うべきか?)だ。『スパイダーマン:ホームカミング』を見たときに「『冒頭6分全部見せます』特別予告編」みたいなのをやっていたのだが、最高の見せ場はそこで見せてしまったわけだ。ジョン・スペンサー・ブルース・エクスプロージョンの『ベルボトムズ』をバックに、ドリフトを自由自在に操って追っ手の裏をかき続けて逃げる様は本当に爽快。あー、ええもん見た。満腹満腹。

と言ってもそれ以降見所が全くない訳ではない。いや、全然面白いです。

『スパイダーマン:ホームカミング』かなり楽しめるが、キートンの怒りは…。 - 書き逃げ

「お、これはすごいかも」と思った点というのは、中盤から終盤に向けて予想をちょっとずつ裏切る展開が続くところだ。「えっ、約束に間に合わないんだ」「えっ、ここで自分の足で走る?」などなど。タランティーノがよくやるようなストーリーの転がし方。どうだ、面白そうだろう。いや、本当に面白いんだけど。

ついでにもう一ついいところを書いておくと、これも『スパイダーマン:ホームカミング』と同様、主役を演じるアンセル・エルゴート君がまた好感持てるんだ。無愛想で無口なイケメンがピッタリである。『キングスメン』の主役も彼がやったらよかったんじゃないか? とか思った。あ、あれの主役はコリン・ファースか。

他の役者のチョイスもよかった。エロい美人(エイザ・ゴンザレス。この映画で覚えたぞ)、それと悪役の脇役たちがとてもいい。ジェイミー・フォックスの「気づかれたくないところに絶対気がつく」イヤな奴ぶりはもちろんよかったし、ジョン・ハムもイケメンとイケボイスが活きていた。レッチリのフリーもジャンキーっぽさがよかったな。『ビッグ・リボウスキ』思い出したな。

残念な点は、実は演出のキレがあんまりないというところだ。もっさり、とまでは言わないが、ちょっと着実に進めすぎている感がある。幼少時の交通事故回想シーンとか二回もいらんやろ。基本は石橋を叩いて渡るテンポなので、武器の受け渡し現場での銃撃シーンのような疾走感が失速してしまう。

 

(ここから極薄ネタバレ。と、もう少し批判)

そして、裏切り続けたわりにはだいぶ安全なところに着地しちゃうあたり。……これは一概に悪いとは言えない。とは言え、アメリカンニューシネマみたいにしろというわけではないが、もう少しピリッとした着地はあったんじゃないだろうか。

あと、ちょっと笑ってしまったのがケビン・スペイシーの最後のくだり。『それでも夜は明ける』のブラッド・ピットを思い出した。最後にギャラが高いえらい俳優が突然出てきて“いい者役”やっちゃうみたいなね。スペイシーはずっと出てたが。