書き逃げ

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『エイリアン:コヴェナント』愚行によって推進する話はもうやめて欲しい

ジョージ・ミラー先生が『怒りのデスロード』で挙げた成果を踏まえる気にはならんのか……。

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最初にいいと思ったところを書くと、画です。腐ってもリドリー・スコット作品、ほほうと思わせてくれます。宇宙服は前作の『プロメテウス』のほうがかっこよかったけど。

コヴェナント号の中で、低温睡眠している乗組員がケースに入ってぶら下げられているのも、「ちゃんと据え付けておけや」とは思うけれど、画としては面白い。画面映え第一の監督だからそれでいいのだ。

見ていて「なんかなー」と感じるたのは、登場人物のショボい愚行で危機的状況を生むという、よくあるといえばよくあるやり口をまた見せられてしまったことだ。一応はホラーだからこれでええという判断なのか? いや、ホラーであればこそ、真っ当な判断をしていたはずなのに(しようとしていたのに)逃れられない悲惨さに入っていくというほうが怖いし感情移入も誘えて効果的なはずだろう。

まず「おや」と思ったのは、予定とは違うけれど、人類が移住出来るかもしれない星を進路の近くに発見して、山登りぐらいの装備で、つまり宇宙服などを付けずにいきなりその星に降り立つ乗組員たちの姿だった。えっ、その過程は描かれてなかったけど、大気組成が地球に近いだけじゃなく、細菌とか未知の毒素とかないことをちゃんと調べたからノーマスクで降りたんだよね? そこははしょってたということだよね? と思ってたら、案の定鼻とか耳からなんかを吸ってエイリアンシリーズお馴染みの見せ場が始まるのである。

これ、エイリアンシリーズの中でも出色の徒手空拳ぶりである。一作目でさえ、宇宙服越しにフェイスハガーにやられてたよなあ。せめて、宇宙服で降り立ち、そこから大気組成を検査して、「毒はなさそうです」とか言うてマスク外すぐらいのことはせんといかんのでは。

で、船の医務室で無事出産されたチェストバスターがピチピチと暴れ回ると、パニクった乗務員が船内をでかい火器で打ちまくり、船をまるごと爆発炎上させてしまう。何しとるねん。あほちゃうか。

いやもちろん、現場にいたら俺たちもそうしちゃうのかもしれないよ。でも、観客が「そんなんしたらアカンに決まってるやろ」と当然思うことを登場人物がし続けるのは、こちらの見る力を低く見積もって「これで意外な展開に見えるでしょ?」と言われているようにしか見えないのだ。見えねーよ! ショボいお約束展開にしか見えない。

デビッドとウォルターの意味ありげなやりとりとか、ミシェルとかバイロンとか、古典に基づいたなんかなんだろうけど、それはようわかりませんでした。しかしこれ、元ネタがわかったら「すげえ!」と思ったのだろうか。

あと、ある登場人物に目印となる傷を付けるというシーンが意味ありげに撮られているのだが、それが全く見分けることに活かされないというのもなんなのかと思ったな。一応、理屈が付けられなくはないにしても、不要だろう。

そしてそもそも……本当にそもそも、低温睡眠の乗組員が2000人いる船、という設定からすると、オチはあれ以外ない。そうなるだろうなーと思ってたらやっぱりそうなって終わる。もう少し頑張ってひねりましょうよ……。