『バーフバリ』2部作に背筋が伸びる
『バーフバリ』を見て身長が伸びた! ということではない。
異様に力強く、正しい映画である。これが正しい映画なのであって、俺が映画について小賢しくあれこれ考えていたことは間違っている、ということを諭された気がした。
CGを多用した画面は、とても「本物っぽい」とは言えない。アクションに「本当っぽい」傷みが伴っているとも言えない。完全に作り物の世界であり、神話的な話を『ドラゴンボール』のリアリティラインで実写化したものと言うことができる。
しかも、インド映画といえばすぐに誰もが思い浮かぶであろう歌と踊りのシーンも当然ある。王族間の血族同士の争い、裏切りや暗殺、そして他国との戦争まである話にもかかわらず、急にきれいな衣装を何着も着替え、真冬だったはずなのに花が咲き乱れる中、踊り出すのである。
そういうシーンになったとき、俺はどう感じたか? もちろん可笑しくなって笑った。だが、それは作り手がそうさせたいと思った反応だ。観客をここで笑わせ、朗らかにさせたいと思って入れているシーンなのだ。俺は失笑のつもりとして笑ったのだがそうではなかった。そうではなかったことに、どんどん気づかされていくのである。「すいません、さっきのは馬鹿にして笑ったんじゃないんです」と遡ってわびたくなるのである。
荒唐無稽なアクション、ご都合な展開、そんなことは百も承知で作られているものである。
国母シヴァガミほどの優れた指導者でも誤った選択をしてしまうこと。そんなよくあることでありながら娯楽映画がきちんと描けないことを、インドから来た、ハリウッド水準からすると失笑もののCGを駆使した映画が教えてくれる。
みたいなことを随分前に書いてアップしようと思っていたのだが、下書きにしたまま今日に至りました。もったいないという貧乏根性で公開します。多分、書き始めたときは3倍ぐらいの長さで書くつもりだったと思う。