書き逃げ

映画、音楽、落語など

『パシフィック・リム:アップライジング』うーん、面白くない

期待してたんだけどなー。でも、薄目で見てたネットでの評判が低そうなのであんまり期待しないようにして見に行ったのになー。

pacificrim.jp

 

文句を言いたい点はかなり多い。ザックリ言うと「下手」ということで終わるわけだが、ペース配分、見せ場の配分がどうにもおかしい。全くどうでもいい、ちっとも興味が持てない人間ドラマ部分が長々続いて、見る気がどんどん失せていく。それが多分、最大の問題だろう。

俺が気になったのは、「この監督、『ドリフト』のことを全く真剣に考えてないな」ということだった。

前作でのドリフトが冴えたアイデアだったとは思わない。エヴァにおける「シンクロ」みたいなもので、理屈はなんだかわからないけど、「ろぼっとをうまくそうじゅうできなくなることがあるかもしれない」というサスペンスを生み出す仕組みでしかないと思っている。あんまり必然的ではなく、シナリオを書く上で便利な、制作者側のためのギミックだと感じた。

だが、デルトロはそれがあの世界において「ある」ものだとして撮ってはいた。それが今作はどうだ。

二人のパイロットがドリフトした状態でこそイェーガーは動く。ドリフトしている間は、二人はお互いの思考を共有しているわけだ。当然、うまくいっている間は二人の思考は不可分な部分が多く、お互いがどういう状態かは自ずと知れているはずだ。うまくいかなくなった、危機的な状況になればなるほど二人の思考はズレるはずだ。

なのに、今作ではドリフトして普通に操縦している二人が、心配して互いを見やるシーンが頻発する。お前らドリフトしとるんとちゃうんか。全然思考を共有しとらんやないか。

前作では怪獣から攻撃を受けて危機的な状況になったときにこそお互いを見るシーンが出てきた(はず)。危険な状況でなければ、二人とも前を向いていたはずなのだ。顔を見ずに話すだけなのはドリフトしていて、基本的な思考を共有しているから。必殺技の名前を叫ぶタイミングが完全に一致しているのもドリフトしているからだろう。

そこぐらい気をつけましょうや、と思った。演出が下手なのは仕方ないかもしれん。でも、その世界のルールはもう少し真面目に考えた上で撮っていただきたい。